2004年11月、米国・マウンテンビュー。シリコンバレーとも呼ばれるこの地で、一つのソフトウェアが産声を上げた。
Mozilla Firefox（モジラ ファイアーフォックス） 1.0。レッサーパンダの名を冠したWebページ閲覧ソフト（Webブラウザ）である。
スタッフ総勢で数十人に満たない非営利組織が世に送り出したこのソフトウェアは、その実、数千人以上のボランティアの協力によってようやく正式版の完成にこぎ着けた。
その2年後、2006年7月。バージョン1.0の公開からわずか20ヶ月にして、Firefoxはついに累計ダウンロード数2億件を突破。ほぼゼロからのスタートでありながら、11ヶ月で1億件、さらに加速して9ヶ月でプラス1億件。驚異的な伸び率でFirefoxは、業界ナンバーワンのユーザーシェアを誇る製品・Internet Explorerの牙城を突き揺るがしている。
そして、来る2006年10月。Mozilla Firefoxは待望のメジャーアップデートとなるバージョン2.0として、再びのリリースを迎えようとしている。
今や凄まじい勢いで追い上げを見せるFirefox。しかしここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。これほど数奇な運命を辿ってきたWebブラウザは他に類を見ない。
かつての大帝国と、その没落。遺された瓦礫の中から蘇った炎の化身。これは、Firefoxの歩んできたはるかなる道をWebの歴史と共に辿る、感動のドラマである。
プロジェクトFx 挑戦者たち ～Webの再発見 Mozilla Firefox、執念の復活劇～
（文責：下田洋志）
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Spread Firefox フォクすけコラボレーション企画として、Firefoxに詳しい各方面の方々に、独自の視点からのプロモーション記事の執筆をお願いしてみることにしました。第1弾は、Firefoxの拡張機能の解説書「Firefoxを究める256のテクニック」の著者の一人であり、拡張機能の開発者としても知られる下田洋志さんによる、Firefoxの歴史ドキュメントです。Firefoxの歴史ポスターでもご紹介したFirefox登場までのエピソードを、数回ほどの連載形式で詳しく紹介していただく予定です。どうぞお楽しみに！
